2007年7月16日

またサドル


サドルの両脇には、クリアランスをとる事になっている。

木の繊維方向と繊維に直行する方向では、湿度の変化に対する伸縮率が違うからで、通常は繊維方向の伸縮は無視できるくらいだが、繊維に直行する方向は1%くらい伸縮がある。

写真のサドルは85mmあるので、表板はその1%の0.85mmは縮む可能性があると考えなくてはならない。サドルをピッタリに入れてしまうと、表板が縮もうとするのを妨げるので、表板が割れる危険性がある。

筆者はヴァイオリンを扱った事が無いので、ヴァイオリンくらい小さくてシーズニングを充分に行えば、ピッタリでも許容されるのかも知れないと勝手に想像していたが、ヴァイオリンでも事情は同じようである。

ちなみに、同じ繊維に直交する方向の伸縮率でも、柾目と板目では伸縮率に差がある。板目の方が伸縮率は大きい。木材は、湿度による伸び縮みを繰り返しながら、年月が経つにつれて動きが少なくなり、内部応力も少なくなって行く。小僧のカンナ台より親方の台の方が、安定しているのである。

0 件のコメント: