2007年11月5日

半音の巾

Cエクステンション(Cマシン)を作るときには、半音の巾を知る必要がある。

コントラバスの場合は弦長が様々なので、キット化されて販売されているエクステンションでは、カポの位置を調整できる様になっていると思う。逆に調整できなければ、特定の弦長のコントラバスにしか取り付けられないということになって、おかしい訳である。筆者の場合は、取り付ける楽器に合わせて、カポの位置を固定してしまうので、弦長からカポ位置を計算する。

半音の巾は、2の12乗根を用いて計算することが出来る(平均律の場合)。オクターブで振動数が2倍になるから、12回掛けると2倍になる様に半音の巾を決めるということだと思う。計算すると、弦長が106cmの時には、開放弦から半音上がった位置までは、5.95cmということになって、結構な巾である。次の半音までは5.62cmなので、先の半音と足した11.57cmが、ハーフポジションでの1指から4指までの距離だ。エクステンション上では、半音の巾はもっと広くなって、C-Cis間は7.5cmにもなる。

これらの値は、理想的な弦について計算したものだから、エクステンション上で、コントラバスのような太い弦を使った場合に、計算どおりいくのか疑問に思っていた。エクステンションのモックアップなどを制作する段階で、チューナーを使って確認したところ、思いのほか計算どおりの位置で正確な音程になった。もちろん、もとの指板の反りが適正で、それに沿ってエクステンションを付けるという条件のもとである。エクステンションが指板に沿っていないと、不必要に弦高が高くなって、半音の位置も計算した値から離れて行くのではなかろうか。

2007年10月25日

レイズド・テールピース(続きの続き)

果たして、テールピースにスペーサ―を入れることによって、本当にダウンスラストは減らせるのだろうか。

ハイ・サドルで、ダウンスラストが減るのは間違いない。テールガットが固定される一方の端(サドル)の高さを高くしているからである。しかし、テールピース+スペーサでは、そうは言えないのではないか。先に実験したところでは、確かに楽器の調子は良いし、音の変化はハイ・サドルによってもたらされる変化と同じ傾向の様に思えた。そこで、その時には、ダウンスラストが減ったものと考えていた。しかし、本当にダウンスラストは減ったのだろうか。

スペーサでダウンスラストが減るかどうかという問いは、図のaとbで、弦と駒のなす角が変わるのかどうかという事のように思う。こうしてみると、どんな高さのスペーサを入れてもテールピースのサドル側が飛び出てくるだけで、弦と駒のなす角は変わらないように思える。Bollbach氏の考案に関して筆者の理解が浅いのかもしれないし、何かやり方が違うのかもしれない。

他の作業や楽器を使う都合もあり、直ぐにはもとに戻して確認できないが、音に対する影響はともかく、スペーサのダウンスラストへの寄与については疑問がある。

2007年10月23日

コントラバスを送る

筆者は九州在住なので、コントラバスを送るにしても送って頂くにしても、一筋縄ではいかない。同様の悩みをお持ちの方も多いと思う。これは、筆者が楽器のセットアップ等を手がけるようになった一因でもある。

「楽器運送」を謳っているところでも、そうでないところでも、ハードケース無しではまず引き受けてくれない。たとえ「コントラバス」が何かを説明するのに成功し、幸運にもハードケースが借りられたとしても、一律に決められている宅配便の料金とは異なり、コントラバスのような特殊な荷物の輸送費は、どうもすっきりしないのである。ハードケースに入れた状態を前提に関東圏までの見積もりを聞いてみたら、Y社の楽器輸送は発地によって違うと念を押され7万以上(復路は別な見積もりが必要)、S社は営業が来てくれたものの、楽器を見て長々としゃべった挙句、見積もりをすると言ったきり二度と現れなかった。数年前に利用したN社は、3万強だったと記憶する。当時の復路はS社で1万程度だったので期待していたが、約束を守れないような会社では頼む気になれない。どなたか、良い方法をご存知の方がおられたら、そっと教えて頂けないだろうか。

航空会社は、コントラバス用のハードケースを持っていると言う事は知られているが、筆者もちょっと調べてみた。ちょっと前の情報なので、現在の正確な状況は会社にお問い合わせ頂きたい。専用のハードケースを予約しておいて、ソフトケースごと入れて預ける方法である。残念ながらこの方法では、楽器だけを送ると言うわけにはいかない。しかし、ハードケースを自前で用意する必要も無いし、これほどコントラバスに理解のある業界は他にはなかなか無いのではないだろうか。「コントラバス」が通じるのである。予約もフリーダイヤルで電話代すらかからない。筆者の最寄空港―羽田間の割引航空券は、1.5万円位からある。ちなみに以下は国内線利用の場合である。

JAL 15kgまで無料(ソフトケース込み持込状態の重量) 
2日以上前要予約
貸与されるハードケースを除いて重量計算してくれるので、
大抵の場合追加料金は不要
オーバーした分は、500円/kg

ANA 貸与されるハードケースを含む重量で計算
(概算で+15000円追加料金が必要)要予約
一人15kgの無料枠を超える分に料金が必要のため
3人以上で乗れば(15x3=45kg)おそらく無料

各航空会社のグループには、荷物の輸送を専門とするロジスティック部門があり、いずれにしてもそこが実際には荷物輸送を行うのであろうから、試しにそこに持ちこんで空港止めで運んでもらえないか調べてみたが、上記の航空券を買って運ぶ場合より費用がかかってしまうということであった。

(注)現在では、運送業者との契約により、この投稿時点より安価に楽器をお送りいただく事が可能となっています。詳しくはお尋ねください。(2009年12月10日追記)

2007年10月18日

レイズド・テールピース?(続き)


テールピース下のスペーサは、その後問題無く快調である。正面からなら見えないし、自分の楽器なのでこのままでも良いかと思いはじめている。こんな小さなスペーサで、かなりの変化がある。ダウンスラストのコントロールの重要性を認識した。

弦の張力に耐えるスペーサの形状や素材を考慮しなくてはならないが、この方法は、ハイ・サドルに比べれば圧倒的に簡易であるし、元に戻すのも簡単である。もちろん、取付時に全てのテンションを解除してしまうので、魂柱や駒のセットアップは必要である。

未知の問題点としては、モード・チューニングにも関わることで、レイズド・テールピースの振動の仕方が、ノーマルの場合と少し違う様に思われることである。これが、問題なのかどうかは今は分からない。

喜んでいたら妻がやってきて、「パチ・サイ・ハドルだ」と言った。これはサドルではないから、パチもの扱いは不当だし、少なくとも、サイ・ハドルでなく、ハイ・サドルである。

2007年10月17日

弦高と移弦のマージン

弦高は、通常、指板の駒側の端で、指板からの距離で表される。
弦高の値は、人によってさまざまだ。筆者の場合、特に高くしたいという希望が無ければ、G線から6,7,8,9(又は8)mmとして、そこから好みや指板のキャンバーを考慮して調整している。ハイポジションを多用する場合には、G線が6mmでは少し高い感じなので、4mm位にする場合もある、といった具合だ。

しかし、実際には、指板からの距離だけでなく、弦どうしの位置関係も重要なのである。指板のRは楽器によって様々だから、弦高の値だけを信じて調整すると、弾きにくくなる場合がある。例えば、平らな指板の場合には、D,A線を高めにしないと、隣の弦も一緒に弾いてしまいがちなセットアップになってしまう。逆に、極端に丸い指板だったとしたら、移弦が遠くなってしまい、楽器本体のCバウツと弓が干渉しやくなる。

奏者によっても、このマージンが少ない方を好む人もいれば、逆の人もいる。
測り方は色々あるだろうが、この相対的な位置関係を数値にしておくと、奏者の好みも分かるし、セットアップの参考になる。筆者の値は(勝手に)移弦マージンと呼んでいる。場合によっては、先の”標準的”な弦高より、こちらのマージンの方を優先した方が良い場合もあるようだ。

2007年10月13日

レイズド・テールピース?

ハイ・サドルは駒が表板を押さえるダウンスラストを減らす方法の一つである。もちろんダウンスラストを減らした方が良いかどうかは、その楽器とプレーヤの好みによる。

Jeff Bollbach※のサイトで触れられている、ハイ・サドルによらずにダウンスラストを減らす方法について、ずっと気になっていた。ようやく時間が取れたので、自分の楽器で試してみた。未知の試みなので、ひとの楽器で試す訳には行かないからである。

今回の方法は、サドルはそのままにして、テールピース側にスペーサ―を入れる方法である。写真を見れば一目瞭然だ。形や、テールガットの取り回しには改良の必要があると思うが、機能としては充分であるように感じた。実際にやってみた結果、この方法でもダウンスラストは減らす事が出来ると言える。

機能的にはハイ・サドルと比べて遜色無い様に思える。問題は見た目である。現状は今一つ麗しくない。また、hillスタイルのテールピースには付かない。しかし、この方法は、テールガットを長いものと交換する以外は、楽器に一切手を加えないという利点がある。最終的にはハイ・サドルがベストの方法だったとしても、試しにダウンスラストを減らして、ハイ・サドルの導入が良いのか悪いのか、さらにはどのくらいの高さが良いのか、試してみるには格好の方法ではなかろうか。

筆者の楽器では、ダウンスラストを減らした方が良い様なので、このままで問題が生じないか、しばらく様子を見ることにする。

※Jeff Bollbach Luthier, Inc.: http://www.jeffbollbach.com/


2007年10月12日

ノイズ

剥がれかかったクロスバー、パッチ、表板や裏板の割れや剥がれ、あらゆるものがノイズの原因となりうる。

特定の音程にだけ反応するものも、そうでないものも楽器を弾いている本人にはとても気になるものだ。一見して場所を特定し、即座に対策をうつ・・・ことができれば良いのだが、意外にやっかいな代物である。気候によって、出たり出なかったりというのも難しいが、これは家電の故障でも良くある事だし、いずれにしても、出るまでは何もできないので、これはそれほど疲れない。

確かにノイズは出ているのに、半日かかっても場所が特定できないというようなケースは、本当に疲れる。探す場所は楽器の中だから、かかる時間も知れているようなものだが、筆者にはなかなか難しい場合がある。やっと見つけた割れを補修した後、何事も無かったかのようにノイズが出つづけたりすると泣けてくる。ミューミュー言うのである。

パッチが張られているような割れには、ついつい、疑いの目を向けてしまうが、一見しっかりついているようなクロスバーや、手で押したくらいでは動かないような割れが原因の事もある。先のケースでは、明らかに割れている大きな割れの横にあった、しっかりと補修されて密着しているように見える割れが原因であった。試しに、膠を流してみるまでは、肉眼では動いている事が分からなかったのである。