2007年4月30日

駒と魂柱のセットアップ1

楽器のセットアップには、

1)演奏しやすさを目的とするセットアップ
2)楽器の音のセットアップ

の両方の要素がある様に思う。もちろん、相互に無関係ではないが、弦高や指板のキャンバー等が前者の例で、駒と魂柱のセットアップは、まさに後者の代表的なものだろう。

ここは自分で簡単に触れるところではなく、通常は楽器屋さんにお願いするしかない。まず専用の道具が無くては作業は難しいし、駒足のフィッティングや魂柱の長さ調整が必要になる場合がある。

しかし、「どうやって」調整するかは専門家に任せるとしても、「どうなっているか」を知る事は損にならないと思う。生兵法はケガの元の危険はあるかも知れないが、専門家と相談するにしても、より具体的に相談しやすくなるのではなかろうか。

さて、前置きはこのくらいにして、

ご存知の通り、魂柱の位置は駒に対して決まる。
従って、駒を動かせば、それにともなって魂柱も動かさなければならない。まず、駒の事から考えてみたい。

コントラバスを正面から見て、スクロールの方向を上、テールピースの方を下とする。
通常は、駒の厚みのセンターが、楽器の中心よりのf穴のノッチ(切り込み)と一致する位置を、基準と考えてよい。この位置を基準として、上下に6mm程度が通常の調整範囲のようだ。

おおまかには、駒を上に動かすと「明るい」、悪く言えば「鼻にかかったような」音になる。しかし、上にしすぎれば、演奏する上では、「かたい」感じになるかもしれない。

反対に、下に動かすと、「暖かい」「柔らかい」、悪く言えば「暗い」音になる傾向だ。演奏上は弾き易い感じになるかもしれない。

駒の厚みに関して言えば、厚い方が「ダーク」、薄くなれば「明るい」方向のセットアップと考えて良いと思う。ただし、駒の厚みを薄くしすぎると、表板に接する面積が小さくなりすぎて、表板を損傷する恐れがある。

以上の話には、もちろん例外もあって、良い位置が上記の範囲に無い場合もある。また、上記の範囲内であっても、自分の気に入る位置を探すのは、なかなか大変な事だ。是非専門家を頼って欲しい。

2007年4月26日

木材など

木材は年数を経ると、強度が上がる。

表板に使われているトウヒやスプルースについては分からないが、同じ針葉樹のヒノキについては、「法隆寺を支えた木」(西岡常一、小原二郎, NHKブックス318)に記述がある。ヒノキは、200年くらいの間は強度が増えて、3割ほども強度が増すそうである。その後は徐々に強度は低下して行く。1300年経った現在の法隆寺の強度は、創建時と同程度になっているという。

木の強度が増えるのは、セルロースが結晶化するためで、このため弦楽器では、時代を経たものが製作時より良く鳴るという事が起こる。この、結晶化のピークは樹種によって異なるようで、広葉樹のケヤキは、新材の時は、ヒノキより強度があるが、このピークが無く、強度の下がり方も急であるということだ。従って、ケヤキは、400~500年ぐらい経過した頃ヒノキの強度に抜かれてしまう。

弦楽器は、表板がトウヒやスプルースなどの針葉樹で、裏板がカエデやメープルなどの広葉樹だ。
ヒノキとケヤキとは樹種が違うので、同様に扱うのは危険かもしれないが、数百年というオーダーは一般に言われている弦楽器の寿命と近い様に思う。

2007年4月24日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など7


エクステンションの機能および外観の仕様が決まったら本番の材料で製作する。

今回は黒檀を使った。非常に高価だ。同じ黒檀でも、縞黒檀は比較的安価だが、真黒と言われる黒色に近いものほど値段も上がり、入手も難しい。黒檀の使用量を減らすには、本体のネックと同様に、メープルと黒檀を貼り合わせる構造にしても良いかもしれない。メープルは、黒檀より柔らかいので、スクロールへのフィッティングもやりやすくなる。

写真は、今回の一連の検討の結果に基づいて製作したエクステンションの本体である。写真には写っていないが、カポも黒檀で製作した。後は、金属のパーツを製作し、組み立て、楽器に取り付ければ完成だ。楽器に取り付けた完成状態の写真は、ホームページ(コントラバスのCマシン製作とセットアップ )の方を見ていただきたい。

2007年4月21日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など6


エクステンションの機能の追及が終わったら、美学上の検討をしよう。

楽器の美しさにはかなうべくもないが、せめてその美しさを減ずる度合いを少なくしたい。

機能上の要求が明確であれば、成形の自由がある部分と無い部分がはっきりするので、これを頼りにする。

紙やトレーシングペーパーを用いたスケッチを行うのはもちろん、最終的にはモックアップで確認する。何をどう美しいと感じるかは人それぞれなので、この段階は最もクリエイティブになれる段階かもしれない。紙上ではベストに見えた形も、三次元になると見え方が変わってくる。モックアップに直接書きこんで形を検討して行く。エクステンション本体は勿論カポも同様な過程を踏んで検討する。

2007年4月18日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など5


さて、エクステンションの指板部分の形が固まったところで、カポの検討に入る。

カポは、好みによっては全く無しでも構わない様だが、Eのカポは最低限有った方が演奏しやすいのではなかろうか。また、Philharmonia Orchestra のビデオクリップでは、オクターヴの連続を弾く場合の要求として、Eに追加してCisのカポの必要性も言われている。

前置きはこの位にして、Eのカポから検討に入る。ここでは、もちろん機能上の要求を満たす事を追求する。写真の様にモックアップ上で、必要な大きさや取り付ける角度などを検討する。取り付け角度が適切でないと、一度弦を押さえてからでないとカポが閉まらないという事になる。さらに、カポを綴じた時に弦間隔を正確に保持できるよう、筆者の場合は、弦に当る面をV字の形に成形して、カポが弦を「キャッチ」するような形にしている。

Eのカポが終われば、その他の音程のカポも同様に検討して行く。Eのカポは取り付け部分の制約があるので、例外的な扱いが必要になるが、その他の3つのカポ(Es, D, Cis)についてはほぼ同じ形で製作している。

使用するボルト等の金物類の選択も、長い目で見れば重要だし、金物類がプアでは情けない。ここではサビと質感に配慮して真鍮製の物を使用している。もちろん真鍮メッキではなく、ソリッドの真鍮のものを選んでいる。ただ1点、マイナスのボルトを使用しているのは単なる意匠上のこだわりである。見た目がスッキリと納まるように思うのだが、最近ではマイナスネジが絶滅に近い状況なのは惜しい。

2007年4月16日

ウルフキラーのセットアップ補足

ウルフキラーの前の投稿が分かりにくいという話もあって、具体的な作業として筆者がどうしているかを補足したい。

まず、最初に「ウルフキラーのピッチをウルフの音程にあわせる」作業では、

1.ウルフキラーを駒とテールピースの間の真中につける
2.ウルフの出る音程を弾きながら、少しずつ端に寄せて、ウルフが最も弱ま場所を耳で探すか、ウルフキラーが最も良く振動する場所を目で見て探す。

というやり方を提案したい。これなら真中から半分だけ調べれば良いし、通常は完全に端まで寄せる事もまず無いから、ウルフキラーを移動させて調べる範囲はかなり限定される。この真中から半分というところがミソなのである。

もし駒よりで良い場所を見つけたら、同じ分だけテールピース寄りにしても同じ効果が得られるはずなので、そちら側も試して欲しい。ここは推測だが「ウルフに対する効果が同じなら、駒から遠いところにつけた方が、全体的な音色を変えにくい」のではなかろうか。これは推測なので、どちらが良いかは試して判断して欲しい。


以下は「ウルフキラーのピッチを、ウルフの音程からほんの少しだけずらす」の方だ。

普通はウルフは止まっても音色がダークだったり、ウルフのでる音程のそばの音程にも影響がある。そこで、例えば、ウルフの出る音程がAだとしてBあたりもダークになってしまうとしよう。ウルフキラーは端に寄せるほど共振するピッチが高くなるので、Bから遠ざけるには先に調べた位置からウルフキラーを真中よりに動かせば良いと言うわけである。すると今度はAsがダークになりそうだがその辺は個別に探ってほしい。通常はウルフキラーの共振する周波数には巾が有るので、その巾を上手く上下の半音の間に入れつつウルフを弱めるというイメージだ。この辺は、ウルフとのトレードオフになってくるわけである。

最近では、ウルフのゴム部分をなくしたウルフキラーもあるようだ。実際に試した事がないので推測の域を出ないが、ゴム有りに比べて共振周波数の巾が狭くなると推測されるので、ウルフ周辺の音には影響が少ないのかもしれない。もっと憶測をたくましくすれば、ウルフトーンにもある程度の分布があるはずだから、この分布に近い共振周波数の巾を持った素材が、ゴムと金属の中間にあるのかもしれない。

いずれにしても、これらの作業方法が絶対正解だなどと言うつもりは全くない。ただ、何らかの手順でウルフキラーのセット方法をやりやすいものにできないか考えてみたいのだ。

2007年4月13日

ウルフキラーのセットアップ

ウルフキラーの作用の原理とセットアップについて、少し整理がついて来たように思うので書いてみたい。原理については仮説の部分もあり、話半分に聞いていただいて、主にセットアップ方法についてクリアにして行きたい。

ウルフは、楽器本体のモードと弾いている音の共振(共鳴?)によって起こる。2者の間での共振であるので、互いにうなりを生じたり、振動が抑制されたりする。ここに「同じ共振周波数を持つ第3者を参加させることによってウルフを低減する」のが筆者が最近考えるウルフキラーの原理である。音叉2つで行う共鳴の実験は良く目にするが、音叉3つではどうだろうか?事例をご存知の方はお教え頂ければ幸いである。

ともかく、それならば、ウルフキラーのセットアップとは、ウルフキラーをウルフの音程で振動するようチューニングすることだ。ウルフキラーの共振周波数(以降ウルフキラーのピッチと言う)はウルフキラーの位置を変えると変化する。ウルフキラーを端に寄せるほどこのピッチは高くなる。ウルフキラーを移動させてチューニングするわけである。

通常言われているセットアップは、ウルフキラーを ウルフが最も弱まる位置に合わせる、すなわち、

1)ウルフキラーのピッチをウルフの音程にピッタリあわせる

で終わりなのだが、他の音に影響したりウルフのピッチに近い音がダークになったりと、不満が出てくることが多い。そこで、

2)ウルフキラーのピッチを、ウルフの音程からほんの少しだけずらす

事を是非試していただきたい。問題が解決するとは限らないが、試す価値はあると思う。

この時、ウルフキラーのピッチがウルフの音程より高くなるようにずらすのか低くなるほうにずらすのか2通り選べるわけで、どちらかより良い方を選択する。ずらす距離は、かなり微妙と考えていただいて良いと思う。 1)の作業を終えた時にウルフキラーが端に寄っている場合ほど、ずらす距離に対する反応はシビアになる。

2通りだけなの?と言うと、もうお気づきの方もおられると思うが、実は選択肢はまだある。1)の作業を行った時に、ウルフキラーの位置が駒かテールピースのどちらか側に寄っていることが多い。もしそうなら、今ついている側の反対の端に寄せても同じ音にチューニングできるのだ。つまり、1)の状態を実現するのに、駒寄りかテールピース寄りかどちらか選べるということだ。
駒寄りしか試した事の無い方は、テールピース寄りも調べてみる事をお勧めする。ウルフキラーが弦の糸の巻き線上に来て、ずらしにくい事があるが、その場合には、一旦ウルフキラーを外し、ゴムの部分だけを先に付けてから、本体を付けなおしてみて欲しい。

結局、ウルフキラーのセットアップには、

1)ウルフキラーのピッチを駒寄りかテールピース寄りかで、ウルフの音程にピッタリあわせる
2)ウルフキラーのピッチを、ウルフの音程からほんの少しだけ高い方か低い方にずらす

の組み合わせで4通りの選択肢があるということになる。4通りの中からベストを選ぶという方針で作業を進めれば、「なんだか良く分からないけど、ベストな位置を探す」よりは、良い位置が発見しやすくなるのではなかろうか。

最後に蛇足だが、通常はA線の駒とテールピースの間に付けることから始めて、ウルフトーンにチューニングできない場合に、他の弦を試す方向で良いと思う。標準的なウルフキラーの重さは、大体そういう前提に合わせてあるようである。

2007年4月10日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など4


モックアップ(試験材料)を、先に行ったマークをもとに成形する。

最初は、専ら機能上必要な部分を切り出して行く。エクステンション上を押さえる時の補助となるサムレストの具合や、エクステンションをつけた状態で他の弦が交換出来るかどうかなどをチェックする。

また、(エクステンション上の)指板の巾やキャンバー、Rなども確認する。マークした音程が合っているかも確認する。筆者の場合は、弦長を元にした平均律にしている。写真では、先端にプーリーを入れて弦を張ってあるが、まだ固定はしていない。エクステンション側の弦高もこの時点で決める。

これらは時間と手間のかかる作業だが、全て機能上の要求だからエクステンションの使いやすさに直結するものばかりだ。万全を尽くしたと思っても、見落としや不都合が出てくる可能性は常にある。我慢のしどころだと思う。
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本投稿はエクステンション製作の概要であって、実際の製作に必要な細かな手順や様々な道具、知識などには触れていない。
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2007年4月7日

適切なセットアップ

時折、力が無くて弦を押さえられないというような話を耳にする。
確かにコントラバスは大きいし、他の弦楽器に比べて弦のテンションも強いが、押さえるのが大変な第1の原因は、セットアップが適切でないことに尽きると思う。

そこで、以前に出た話題もあるが、ブログ開始1ヶ月記念ということで、適切なセットアップについてまとめてみた。もちろん、実際に行う時は信頼できる楽器店に相談することをお勧めする。

(1) 適切な弦の選択。太くてテンションの高い弦は、もちろん押さえにくい。もし自分の使っている弦に、ゲージが色々有るなら、無理をせず、他のゲージを試しても良いと思う。細い方から、Weich, Mittel, Starkと書いてある場合もあるし、light, medium, heavyと書いてあることもある。指を壊すくらいなら、細くてテンションの弱いゲージを選ぶべきだ。あるいは、弦のメーカーや種類を変えるべきだ。
以下の全てが出来ない場合、弦の交換だけでも相当楽になると思う。

(2) そしてまず、駒側の弦高だ。
以前の投稿で、標準的な値として6,7,8,9mm(G,D,A,E)を揚げたが(指板の駒側の先で測った値)、これより下げられるケースも多い。指板のRが極端に小さい楽器では、他の弦に挟まれた弦(D線やA線)が弾きにくくなる事があるから、その辺は考慮しなければならない。

(3) 次に上ナット側の弦高。
これは可能な限り低くする。指板のキャンバーが適切なら、紙一枚分位と言っても良い。上ナット側の弦高が、ミリ単位で測れるようだと、ハーフポジション辺りはさしずめ地獄だ。

(4) そして、指板の適切な反り(キャンバー)。
適切なキャンバーがあると、指板の全範囲にわたって弦高が平均化する。キャンバーは正確な円弧状で、最深部も適切な位置に無ければならない。

(5) さらに、弦同士の間隔が広すぎるのも良くない。
弦間隔は、上ナット上の間隔と、駒上の間隔があるが、いずれも広すぎてはいけない。広すぎると弾きにくいだけでなく、楽器の鳴りも抑制してしまう。

もし楽器を弾くのに、指を痛めるくらい力が必要なら、以上のポイントを中心に、是非楽器店に相談してみて欲しい。(1)~(3)までならそれほど費用もかからないはずである。
握力を鍛えるのは、自分の楽器のセットアップをチェックしてからでも遅くない。

2007年4月6日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など3


写真は先にマークした基準をもとに、必要な大きさに切り出した試験材料(モックアップ)をのせたところである。

試験材料は必要な大きさにプラスαしてあるので、多少バランスが悪い。スクロール部分と、糸倉のほおに当る部分は大まかに切り取ってある。ピッタリに切れれば良いが、多少切り込み加減にして、シムで調整する位でもよい。

エクステンションを取り付けるために、従来の上ナットの一部が切り取られている事にお気づきと思う。エクステンションのモックアップには、弦の通り道やカポの位置、さらに弦をおり返す滑車の位置をマークしてある。指板と接する部分の木口には、指板のRもマークしてある。これらの位置を押さえた上で全体の輪郭線を決めて行く。

写真からお分かり頂けるように、エクステンション本体はスクロールの上に乗るので、スクロールが出っ張っている楽器では、エクステンションを取り付けにくい。幸いこの楽器では指板のキャンバーの延長線とスクロールの間に、充分な空間がある。

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本投稿はエクステンション製作の概要であって、実際の製作に必要な細かな手順や様々な道具、知識、木工の技量などについては触れていない。くれぐれもご注意頂きたい。
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2007年4月4日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など2

指板を延長するタイプのエクステンションでは、大雑把に言って、スクロールを切り込んで延長指板を埋めこむやり方と、スクロールを保存するため延長指板をスクロールにフィットするよう加工するやり方がある。

前者はスクロールを大きく切り取ってしまうが、延長指板の加工が楽なので、スクロールを保存するほどでもない楽器(失礼。)の場合に適している。後者はスクロールへの加工は最小限で済むが、延長指板をスクロールにフィットさせる作業にコストがかかる。

---注意---
本投稿はエクステンション製作の概要であって、実際の製作に必要な細かな手順や様々な道具、知識、木工の技量などについては触れていない。また、取り付けが可能な場合について述べているので、楽器によってはもともとエクステンションの取り付けが難しい場合のことは書いていない。くれぐれもご注意頂きたい。
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さて、どちらのやり方でも、エクステンション製作で最初に行うのは、弦を買う事だ。Bass ext. E string等と言って売っているエクステンション用に延長されたE線を手に入れる。

この弦を使って、指板を延長するための基準を割り出す。基準を出すだけならタコ糸でも構わないが、いずれにしても使うし、ナット部分を作成したりカポを調整するには、使用する弦の太さも必要となる。

楽器に、ext. E線を張り、端を持ってスクロール上部にあてがう。上ナット上の弦間隔が他の3弦の弦間隔と同じになるような位置を探す作業だ。従来のE線を延長すると、スクロール上のどの位置を通るのかを正確に知りたい訳である。位置が分かったらスクロール上にマークする。表板の養生や何でどうマークするとかそういう細かい事には触れない。

このマークが全ての基準となる。このマークの位置と、糸倉のほお(cheek)の位置などから、必要な材料の大きさを割り出す。筆者の場合は、テスト用の材料を使ってモックアップを製作する。本番の材料は高価なので、そうそうやり直すという訳には行かない。

2007年4月1日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など1

5弦はネックも太いし大きいからと躊躇していても、low-Cまで弾けたら良いなと思っている方もいらっしゃると思う。 自作というのは中々難しいかもしれないが、興味をおもちの方もおられるかもしれないので、Cマシンを製作の様子を概略お話したい。

4弦のE線を延長して、low-Cまで弾けるようにする装置がCエクステンション(Cマシン)だ。
国内的にはCマシンの方が通りが良いと思うけれども、正式名称かどうか分からないし、筆者の教科書にはC-extensionと書いてあったので、ここではCエクステンション、またはエクステンションと書くことにする。

製作の内容に先だって、エクステンション種類について少し。
エクステンションには大きく分けて2タイプがある(正確な分類でないかも)。タイプライタータイプとも俗称される機械式のものと、指板を文字通りエクステンションしたタイプ。機械式はキーを押さえて音程を出し、弦を直接押さえない。指板を延長したタイプは、弦を直接指で押さえる。

指板を延長したタイプには、Eのところにカポが付いていて、開放をCにするかEにするかを変えられるのが普通だ。さらに、E以外の音程についてもカポがついているものもある。E以外の全ての半音にカポがついていると要所要所で、開放を変えられて便利なようだ。

ここでは、指板を延長したタイプのものについて筆者の製作過程を書いていこう。