2009年11月21日

指板交換のはずが


楽器全般のチェックとともに、指板交換のご依頼をいただいた。

交換の理由は指板が薄いためである。薄いだけなら、あと一回くらいは、ドレッシングできそうでもあったが、反りの量が大きいため、交換が望ましいと判断した。

チューニングマシンの調子も良くなかったため外し、ナットを外し、指板を外す。指板は常に綺麗にはがれる訳ではないが、今回の楽器は順調であった。指板の裏側とネックの接着面は、接着を確実にするため、ナイフで傷を付ける事があり、今回の楽器でも付けられた跡が見える。外した指板の裏にはサインがあり、さらに割れを補修した跡があった。

指板を外し、ネックを綺麗にしていると、どうも様子が変である。ネックに剛性感が無い。最初に楽器を拝見した時に、ネックの付け根部分と表板の間に隙間があり、少し気になっていた。この部分は表板に弦のテンションを伝えるところなので、極力密着している方が良いのではないかと思う。一見ついていないようで、ついている場合もあるが、今回は、やはりネックの接合に問題がある。隙間はナイフが簡単に入る所もあった。

ネックは緩んでいてもすぐに外れてしまう訳ではない。この楽器でもボタン部分はしっかりしており、弦を張って弾くことは可能である。しかし、緩んだネックでは、弦の振動が吸収されてしまい、効率をあげる事は難しい。オーナーの方と相談して、ネックのリセットを行う事になった。

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