2012年7月5日

ニス


ニスは、汗などから楽器を保護している。
大抵のニスは水分で影響を受けないが、中には汗などの水滴が付くと表面に痕が残るものもある。何故か理由は分からないがそういう物もあった。湿度の高い日にニスが白化する事があるのと似たようなものだろうか。しかし、そのようなニスであっても、通常の使用状態であれば十分に保護の役割は果たすだろう。


一見ニスに見えるが 、実際はニス層が劣化していて、手あか等と混ざった物で置き換わっている事がある。そういう楽器で、修理やセットアップをしていると何となく手がペタペタしてきて、変だな?と思う。
G側の肩とか、Cバウツの横板など、手が良く当たる所で散見される。汚れを取り除いてから、補修した。

2012年6月22日

From inside

色々張られていている。バスバーも新しいようだ。
これだけ張られると、元の楽器と同じと言えるのか分からない。それでも音に関してはオリジナリティを保存しているのかもしれない。良い楽器であった。

筆者の素人写真ではこの辺が限界だが、プロが楽器の中を美しくとった写真として、ベルリンフィルのポスター(?)があちこちで引用されているようだ。
やはり、中に入ってみたいし、ちょっとだけ住んでみたくなる。

2012年5月24日

虫によるダメージ

喰われた部分の木が無くなってしまうため、虫によるダメージは大きい。

木目や木の繊維方向と無関係に食べ進むので、割れと違って不自然な傷の入り方になる。虫は、よりおいしい方へ向って進むのか。

表面に現れずに紙一枚下はトンネルになっている状態の虫穴では、力が加わるとあっさりとトンネルに沿って割れてしまう。ソフトケースについている金具が引き金になる事があり、この楽器の場合はそうであった。下にして置くときにストラップの金具が当たってしまう。楽器のCバウツ付近に金具が来るように作られていないケースでは、気をつけて楽器を置かなくてはならない。

失われた木を足す場合、内側から行う方が良い。しかし、コントラバスの場合は大きいだけに開閉のコストが問題となる。虫による被害以外のトラブルが積み重なっていれば開ける価値はあるが、今回はfを介する修理に加え、一部分のみ開けて修理を行う事にした。
虫穴部分を綺麗にする以外は全く木を削らないため、見栄えに多少難があるけれども、必要なら綺麗に除去できる修理なので、将来、開ける時に本格的な修理を行えば良いと思う。

修理後セットアップすると、反応が良く音量もあり明るく好もしい楽器だった。ラウンドバックであったが、裏板に魂柱を受けるベースが付けてあり、フラットバックのように魂柱を作る事が出来る。角度さえ正確に合えば、切り口を平面にできるので便利であった。


2012年5月9日

スクリューの穴

ボタンのスクリューの長さと、弓のスティックの穴の深さとは一致している方が良いのではないか。
一致していない弓も良く拝見するので断定はできないが。

一致していた方が良い理由の第一は、万一ボタンからスクリューが抜けてきた時、スクリューがスティック内部に入り込む可能性が有るからである。アイレットのmortiseより先の穴は、ネジ部分よりも細く開けられている事が多い。 スクリューが内部に入り込むと、内側からスティックを押し割る可能性が有る。

実際にそのようにして割れた事例は一度見た事がある。何故割れるのかが理解されていなかったようで、何度も修理されていた。

対策は、穴の底に木を入れて穴の深さをスクリューに一致させる。入れる木は、Pernambucoが良いように思うけれども、他のものでも構わないと思う。もし、入れた木が嫌なら、取り除く事は容易で、スティックも傷めない。

穴の深さとスクリューの長さが一致している利点は、万一の対策だけでなく、弓の毛のテンションを穴の底でも分散して受けるため、 ボタンとスティックが接している部分が摩耗しにくくなるということもあるようだ。写真のプレッチナーは2000年の新作なので、ボタンがオリジナルであれば、ひょっとすると、穴を深くする何か別な理由があるのかもしれない。

摩耗と言えば、スティックより柔らかい素材であれば、いわゆるラバー(プラスチック)のボタンは高級感では劣るものの、スティックの保護のためには利点となるのかもしれない。

2012年4月21日

Levinson Masterclass on the Strad

APRIL 2012 VOL 123 NO. 1464のthe StradのMasterclassのコーナーに、Eugene Levinsonによるフィンガリングのコンセプトについての解説が、4ページにわたり譜例付きで掲載されている。
The Strad

蛇足ながら、オンラインでは読めないので雑誌を買う必要がある。

2012年4月15日

駒用のゲージを作ろう


このブログでも述べてきたが、結構お付き合いの長い方でも、いまだに駒が指板側に倒れてくる事を修正する重要性が伝わっていなかったりして、駒の位置を確かめるスティックを作ってみることにした。楽器に関してはご自身での作業はお奨めしていないが、駒の倒れを修正する事は別だ。このゲージは作っておくと便利ではないかと思う。

駒は日々チューニングと共に指板側に倒れてくる事が多いので、これを時折修正する必要がある。 これは演奏者が行わなければならない。弦長で2~3ミリほど指板側に倒れてくるだけで、弦高は高くなって押えにくい感触になり、音は締め付けられたような窮屈な鳴りに変わってしまう。その状態で放っておけば、どんなに高価な駒でも反ってしまい、最悪は作り変える事になる。問題はどの位修正すればいいかが分かりにくい事だ。
弦長を知って、その値で管理もできるが、あまり手軽でない。駒の裏側と表板の角度を目で確かめる方法では、弦長をミリ単位で管理できるか難しいように思う。

駒足が表板の正しい位置にあり、かつ正しい弦長にセットされている状態で、指板の先から駒までの距離を棒か何かに写し取っておこう。駒の正しい位置と、正しい弦長は駒を作った人にしかわからないので、正しくセットアップしてもらった直後に自分で測るか、教えてもらおう。
この小さなスティックを楽器ケースに入れておけば、いつでも簡単にチェックでき、良い状態を維持できる。
駒が倒れてきていたら、Mikeにならって修正しよう。

2012年4月8日

松脂

ISB会報のQ&Aで、楽器についた松脂が採り上げられていた。

楽器表面にこびりついた松脂をどのように落とすかという話で、 実はこれは非常に難しい。
松脂とニスは基本的には同じものなので、松脂だけを取り除く事はなかなかできず、ニス自体にも影響が出てしまうという話であった。

溶媒の違いを利用したり、物理的に少しずつ除去するなどした後、傷んだ分のニスを補うため、表面に薄くニスをかけたりする。

結論としては、「演奏後に布で楽器を拭く」に尽きるようである。

話は変わるが、古い楽器でニスがすれたような外見の楽器でも、擦れた部分にはニスが補われているようである。木部に汗が染みてしまうと木部を痛めてしまうからである。