2015年5月5日

弓のスクリュー

先の記事と似ているが事情は全く違っていて、この写真のケースは、直ぐに修理が必要な場合がある。

写真のように、スクリューの先側のねじ部分がアイレットの溝より先まで来ていることは、正常な状態ではない。スクリューがボタンから抜けてきている可能性がある。

このような現象は、スティック側の穴の深さがスクリューの全長と一致するように作られている弓では起こりにくいが、穴の深さをどうするかは、作者の意図もあると思うので、筆者がどうこう言う事はできない。

穴が深く掘られている弓では、スクリューがボタンから抜けると、ネジ山でスティックの穴を広げながら入って行ってしまう。穴がそれほど深くなければ、スクリューは穴の底に達した時点で止まるので、破損は少ない。このためスクリューが緩んでいる事が分からず、そのまま使い続けられることもある。穴が深ければ、時にスティックを内側から押し割ることもある。

ただ、写真のような状態でも、修理が必要でないケースもある。 専門家にご相談頂きたい。

ボタンスクリューが緩んでいない弓でも、スティック側の穴が深い弓については、状態に応じてあらかじめ防止策を講じることもある。穴の底を埋め木して、穴の深さとスクリューの長さを一致させる。万一の場合でもスティックが破損することを防げるし、ボタンが軽く回せるようになることもある。

2015年3月23日

古い弓のスクリュー

ボタンのスクリューが弓の中で折れることがある。

折れて内部に残ったネジを上手く取り除けない場合、フロッグが取り外せなくなり、かなり悲惨な修理が行われる可能性がある。

コントラバスの場合ネジの径が太いので、折れる頻度はあまり高くないのではないかと思うが、修理跡を見かけることはある。

細いものでも直径4㎜あるネジが、何故折れるのだろうか。長く使えば何らかの故障は当然かもしれないが、サビが原因で強度が低下する事はないだろうか。あったとして、なぜスクリューが折れてしまうほどのサビに気づかないのだろうか。

スクリューは、大体において、ワセリンやらロウやら(時には油?)で潤滑されているので、ねじ部分にそれらの物が詰まっている(あるいは詰めてある)ことが多い。見た目で防錆効果を思わせることもあり、これら潤滑材で覆われているためにサビに気づかないことがあるのではないか。

写真でAの部分は、フロッグのアイレットが動く範囲なので、スクリューがネジとして機能している部分である。実際はフロッグを最大限後退させることはあまり無いので、Aの半分くらいが使われている範囲である。使われる部分に関しては、錆びることはまずない。

一方Aの後半は、あまり使われない部分である。Bの部分はネジは切ってあるけれども、スティックの穴の中に隠れている部分なので、ネジとして機能することがない。しかも、常に木質材料に囲まれていてサビが誘発される可能性がある。

これらの部分に溜まった汚れがそのままになっていて、長い間掃除されていないスクリューでは、一見問題無さそうでも、内部で錆びていることがある。特に古い弓では、気を付ける必要があると思う。

2015年1月15日

携帯電話からのメールについて

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また、当方へ戻ってくることなく受信拒否となっている場合もあるようです。

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2014年12月25日

ハイ-サドル

ハイサドルは演奏のフィーリングを改善したり、音をオープンにするのに効果がある場合が少なくないと感じる。これはあくまでも筆者の感覚や調整の方向性から感じることで、好みによっては異なる意見もあることは承知しているし、必要性を感じない楽器もある。

ここでは、ハイサドルと呼んでいるが、高さの高いサドルは、Raymond Elgarの著書"Introduction To The Double Bass"にも記述があって、そこでは"extension"と呼ばれていたりする。この本によれば、そもそもサドルの高さを上げる必要がでてきたのは、スチール弦の出現によるものだということだ。ガット弦よりスチール弦の方がテンションが高いために、表板へのストレスを減らし損傷を防ぐため、サドルを高くする必要があるという。

この本の初版は1960年だが、今日サドルを高くしている楽器の割合はそれほど多くないように感じる。新作の楽器では、最初からテンションの高い弦を前提として製作されているのかもしれないし、古い楽器でも、テンションの高い弦に対応するための強化が行われてきたためかもしれない。
ハイサドルのついていた痕跡のある楽器も時折見るので、一旦はハイサドルが付けられたものの、後の奏者の好みなどによって、外されているケースもあるようだ。今では、テンションの高い弦が当たり前になっていて元の必要性があまり意識されなくなっているのかもしれない。

これを言うと元も子もないが、もう少しいうと、楽器の形やネックの角度、スタンドハイトとも関係があるので、必要性は一概には言えないという面もある。

テンションの低いモダンの弦があれば良いような気がするが、テンションが低すぎることが演奏性に影響して、現代の用途に向かないのかもしれない。テンションの強い弦でハイサドルをつけることと、テンションの弱い弦を張ることは同じではない可能性もある。

と、そんなことをサンタクロースを追跡しながら考えていた。

2014年11月3日

C-エクステンション


 エクステンション単体をお作りするというより、全体のセットアップがあったうえでエクステンションをお考え頂くようにおすすめしている。

カポを固定してしまうので、弦長が確定していないと音程が正確でなくなってしまう。弦長をどのように確定させるかは、単純なようで難しい。その他にも、弾きやすさやエクステンションのためのスペースをどのように確保するかということも、他のセットアップが確定していないと決められないことがある。従って、エクステンションの製作をご依頼頂いた場合でも、セットアップが固まっていなければ、セットアップを先に行うようおすすめすることになる。

この楽器では、エクステンション内部にスクロールを迂回するだけのスペースが取れないため、スクロールに穴をあけて弦を通している。弦の取り回しは、チューニングのやりやすさに影響があると同時にノイズが発生しないような配慮も必要になる。
エクステンション内部に弦を通さないと、設計上の余裕が生まれるので、 その分全体をスリムにした。

追記
この度、当方のエクステンションが意匠登録されました。登録されたという事は、デザインのオリジナリティを認められたという事なので、とても嬉しい事です。出願にあたりソシデア知的財産事務所さんに大変お世話になりました。お礼申し上げます。




2014年7月14日

The Realistの可能性

以前、ピックアップのThe Realistには問題があることを書いた。

銅のフォイルに挟まれたピエゾの形に表板が凹んでしまう。修理は不可能ではないが、あまり現実的ではない。
加えて、ピエゾ部分の厚みは1㎜以上あるので、駒の足の表板へのフィットの程度が悪化する。ピックアップを入れる側(E線側)の足は当然悪化するうえ、片側の足だけ長くなったのと同じ状態なので、反対側の足も悪くなる。ピックアップを通さない状態の音に悪影響がある。

しかし一方で、The Realistはピックアップ自体の音には人気がある。アンプを通した時の音はピックアップによるところが大きく、このピックアップを好まれる方は多い。
一度でもThe Realistを入れてしまったら、表板は凹んでしまい、自然には元に戻らない。どのみち凹んでしまったなら、使い続ける選択肢も合理的と思う。ただ、その場合でも2番目の、ピックアップを通さない状態の音の問題は残るので、これを解決できないかと考えていた。

そのような楽器でも駒をThe Realistを前提にして作ることで、アンプを通さない音を相当程度改善できるケースがある。駒の足の長さをピックアップの厚みを計算に入れて作り、ピックアップ側の足を、ピックアップの凹凸に合わせてフィットする。ピックアップなしの駒との比較はしていないが、感触としては、ピックアップがあることのマイナスをほとんど感じない。既にThe Realistをお使いで、その音を愛する方には、一つの可能性となるように思う。

2014年7月7日

黒檀のミュート

黒檀のミュートを買ったら、そのまま使っていた。

商品を買ってそのまま使うのは、当たり前ではある。このようなものだと疑うことはなかったが、最近ミュートの製作をした時に、はたと気づいた。黒檀に限らず、木製のミュートは個々の楽器に合わせて調整して、初めて完成するのではないか。

コントラバスに限らないかもしれないが、駒の製作のコンセプトにはいろいろある。駒の先端の厚みも、いろいろで、1~2㎜の差は当たり前にある。たまたま上手く合う場合もあるかもしれないが、黒檀のような硬い木がでできたものが、すべての駒にフィットするとは考えにくい。

鑿や鉋のような道具は、買ってから自分で仕込むのが普通だ。「直ぐ使い」と謳われていても、少しは調整の余地が残してある場合が多い。使う人の好みや作業によって都合があるから、最初から仕上げてしまってあると逆に困る。

同じように黒檀のミュートも、「直ぐ使い」ではなく、もともとは楽器店で削ってもらって購入するものだったのかもしれない。自信があればDIYも良いと思うが、専門店で自分の駒に合うように削り合わせてもらう価値はあると思う。