2015年8月9日

クランプ

「木工家は決して十分な数のクランプを持つことはできない」
 とはよく言ったもので、クランプはいくつでも欲しいし、仮に数があったとしてもより良いものが欲しい。

 Barrett Bass Clampは とても良い買い物だった。写真は楽器のリブ越しに使えるクランプで、アルミなので見た目よりもずっと軽い。複数のクランプをかける時には、軽いというのはとても大切なことだ。と思う。
同じようなもので小ぶりなMach-oneのも持ってはいたが、たいていは懐が足りなくて出番が無かった。

一方でBarrett Clampはとてもよく考えられていて、大変に使いやすい。ただし、一度分解し、全てを洗浄してから、ねじ部分の滑りなどを調整すれば、の話である。 ニカワを使う以上、時間との闘いなので、ねじ部分が滑らかに動くことは大変に重要だ。ネジのサイズがインチなのがちょっと辛いが、手をかけるだけの価値はある。滑らかになると、蝶ナットを指ではじくみたいに、ローレット部分で回せるから、細かいネジのピッチも気にならない。

そもそも、コントラバス用のクランプが、この世の中で作られていて販売されているだけでも素晴らしい。ああ、それにしても、なんだかもう1セット必要な気がしてきた・・・。

2015年5月30日

ネックシム?

指板の接着状態が良くないので、ネックの反りが変化してしまうとのことであった。
指板は割合に簡単に剥がれた。接着には複数の種類の接着剤が使われ、接合面の隙間に充填するようなこともおこなわれていた。

ネックには既にシムが追加されていた。シムとネックの接着は良好に行われており、シムを残すことも考えられた。ただ、良く見るとシムというよりは、ネックの厚みの一部が置き換えられているような感じである。つまり、ペグボックスの一部も含んで新しい木に置き換えられている。

さらに良く見るとペグボックスとネックの木は別々に足されている。接合部分は正確に加工されている。
確かに力のかかり方からすると、ここが別になっていても、ある程度は許されるような気もする。それでも、力のかかる部分であるため、この部分の繊維はできるだけ多くつながっていてほしいように思う。

今回は、指板が薄くなっている分、ネックの厚みも増やしたいとのことだったので、シムの上にシムを追加すると二重になって、あまり見た目がよくない。綺麗にできてはいたが、 元のシムないしは埋め木を取り除き、新たに一体でシムを作ることにした。新たに増やした厚みはナットの下まで延長した。

ところで、チューニングマシンのための掘り込みには、スペーサーとして名刺が入れられていた。師匠の名刺ではないか。

ニスを塗り、指板を貼り直した。

2015年5月5日

弓のスクリュー

先の記事と似ているが事情は全く違っていて、この写真のケースは、直ぐに修理が必要な場合がある。

写真のように、スクリューの先側のねじ部分がアイレットの溝より先まで来ていることは、正常な状態ではない。スクリューがボタンから抜けてきている可能性がある。

このような現象は、スティック側の穴の深さがスクリューの全長と一致するように作られている弓では起こりにくいが、穴の深さをどうするかは、作者の意図もあると思うので、筆者がどうこう言う事はできない。

穴が深く掘られている弓では、スクリューがボタンから抜けると、ネジ山でスティックの穴を広げながら入って行ってしまう。穴がそれほど深くなければ、スクリューは穴の底に達した時点で止まるので、破損は少ない。このためスクリューが緩んでいる事が分からず、そのまま使い続けられることもある。穴が深ければ、時にスティックを内側から押し割ることもある。

ただ、写真のような状態でも、修理が必要でないケースもある。 専門家にご相談頂きたい。

ボタンスクリューが緩んでいない弓でも、スティック側の穴が深い弓については、状態に応じてあらかじめ防止策を講じることもある。穴の底を埋め木して、穴の深さとスクリューの長さを一致させる。万一の場合でもスティックが破損することを防げるし、ボタンが軽く回せるようになることもある。

2015年3月23日

古い弓のスクリュー

ボタンのスクリューが弓の中で折れることがある。

折れて内部に残ったネジを上手く取り除けない場合、フロッグが取り外せなくなり、かなり悲惨な修理が行われる可能性がある。

コントラバスの場合ネジの径が太いので、折れる頻度はあまり高くないのではないかと思うが、修理跡を見かけることはある。

細いものでも直径4㎜あるネジが、何故折れるのだろうか。長く使えば何らかの故障は当然かもしれないが、サビが原因で強度が低下する事はないだろうか。あったとして、なぜスクリューが折れてしまうほどのサビに気づかないのだろうか。

スクリューは、大体において、ワセリンやらロウやら(時には油?)で潤滑されているので、ねじ部分にそれらの物が詰まっている(あるいは詰めてある)ことが多い。見た目で防錆効果を思わせることもあり、これら潤滑材で覆われているためにサビに気づかないことがあるのではないか。

写真でAの部分は、フロッグのアイレットが動く範囲なので、スクリューがネジとして機能している部分である。実際はフロッグを最大限後退させることはあまり無いので、Aの半分くらいが使われている範囲である。使われる部分に関しては、錆びることはまずない。

一方Aの後半は、あまり使われない部分である。Bの部分はネジは切ってあるけれども、スティックの穴の中に隠れている部分なので、ネジとして機能することがない。しかも、常に木質材料に囲まれていてサビが誘発される可能性がある。

これらの部分に溜まった汚れがそのままになっていて、長い間掃除されていないスクリューでは、一見問題無さそうでも、内部で錆びていることがある。特に古い弓では、気を付ける必要があると思う。

2015年1月15日

携帯電話からのメールについて

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また、当方へ戻ってくることなく受信拒否となっている場合もあるようです。

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2014年12月25日

ハイ-サドル

ハイサドルは演奏のフィーリングを改善したり、音をオープンにするのに効果がある場合が少なくないと感じる。これはあくまでも筆者の感覚や調整の方向性から感じることで、好みによっては異なる意見もあることは承知しているし、必要性を感じない楽器もある。

ここでは、ハイサドルと呼んでいるが、高さの高いサドルは、Raymond Elgarの著書"Introduction To The Double Bass"にも記述があって、そこでは"extension"と呼ばれていたりする。この本によれば、そもそもサドルの高さを上げる必要がでてきたのは、スチール弦の出現によるものだということだ。ガット弦よりスチール弦の方がテンションが高いために、表板へのストレスを減らし損傷を防ぐため、サドルを高くする必要があるという。

この本の初版は1960年だが、今日サドルを高くしている楽器の割合はそれほど多くないように感じる。新作の楽器では、最初からテンションの高い弦を前提として製作されているのかもしれないし、古い楽器でも、テンションの高い弦に対応するための強化が行われてきたためかもしれない。
ハイサドルのついていた痕跡のある楽器も時折見るので、一旦はハイサドルが付けられたものの、後の奏者の好みなどによって、外されているケースもあるようだ。今では、テンションの高い弦が当たり前になっていて元の必要性があまり意識されなくなっているのかもしれない。

これを言うと元も子もないが、もう少しいうと、楽器の形やネックの角度、スタンドハイトとも関係があるので、必要性は一概には言えないという面もある。

テンションの低いモダンの弦があれば良いような気がするが、テンションが低すぎることが演奏性に影響して、現代の用途に向かないのかもしれない。テンションの強い弦でハイサドルをつけることと、テンションの弱い弦を張ることは同じではない可能性もある。

と、そんなことをサンタクロースを追跡しながら考えていた。

2014年11月3日

C-エクステンション


 エクステンション単体をお作りするというより、全体のセットアップがあったうえでエクステンションをお考え頂くようにおすすめしている。

カポを固定してしまうので、弦長が確定していないと音程が正確でなくなってしまう。弦長をどのように確定させるかは、単純なようで難しい。その他にも、弾きやすさやエクステンションのためのスペースをどのように確保するかということも、他のセットアップが確定していないと決められないことがある。従って、エクステンションの製作をご依頼頂いた場合でも、セットアップが固まっていなければ、セットアップを先に行うようおすすめすることになる。

この楽器では、エクステンション内部にスクロールを迂回するだけのスペースが取れないため、スクロールに穴をあけて弦を通している。弦の取り回しは、チューニングのやりやすさに影響があると同時にノイズが発生しないような配慮も必要になる。
エクステンション内部に弦を通さないと、設計上の余裕が生まれるので、 その分全体をスリムにした。

追記
この度、当方のエクステンションが意匠登録されました。登録されたという事は、デザインのオリジナリティを認められたという事なので、とても嬉しい事です。出願にあたりソシデア知的財産事務所さんに大変お世話になりました。お礼申し上げます。