2007年9月1日

ハイ・サドル(続きの続き)

ハイ・サドルを製作するにあたって試作を行ううち、楽器が弦のテンションに耐えるメカニズムについて改めて考えさせられた。

Jeff Bollbach氏のホームページ※で書かれていたXiao-Houng Luo氏のコンセプトが興味深い。楽器の構造の強さを、卵に例えている。卵の上下を指で挟んで押しつぶそうとしても、なかなか難しいのと類似があるのだそうだ。そういえば、卵をつぶさずに卵を踏みながら踊る卵踊りというのを聞いた事があるような・・・。

ともかく、楽器はその形をしているが故に、弦のテンションに耐えるということである。弦の張力はネックとサドルを介して表板を上下から押し縮める様に伝えられ、一部は表板のアーチによって駒を押し返す力となっているという。

サドルは、表板とエンドブロックの両方に接して、それぞれに弦から受ける力を伝えている。表板と接触している面積は一見小さくて、たいした役割など無い様に思えるが、実際の面積を測定し、木材の圧縮強度から計算してみると、確かに、弦のテンションに耐えるだけの面積がある。

つまり、ハイ・サドルを導入する時には、なるべくもとのサドルと同じ場所にテンションがかかるように考えなければ、強度に対する本来のコンセプトから外れてしまうと言う事だろう。筆者は、結局木ネジを併用する形で製作した。恐らく問題無いのではないかと思う一方、永くもつ事を祈るばかりである。

※Jeff Bollbach Luthier, Inc.: http://www.jeffbollbach.com/
(卵の話はバスバーに関連して記述されている。 )

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