2007年12月21日

テスト用のハイサドル


ハイサドルは、駒から表板にかかるダウンスラスト(テンション)を減らすために用いる。

ハイサドルを導入すべきかどうかは、各弦の音量のバランスや弾いた時の感覚によって判断している。しかし、気軽にテストできれば、それに越した事はないと思う。

以前、ハイサドルの簡易な代替手段として、レイズド・テールピースをテストしたが、ダウンスラストを減らす効果は無かった。ただ、レイズド・テールピースには、テールピースの振動をより自由にする効果があり、テールピースの共振ピッチを下げる。これは、テールガットの長さを長くすることとほぼ同じ効果なのではないかと思う。モード・チューニングでテールピースの共振ピッチをコントロールする手段として有効なのではなかろうか。テールガットの長さには制約があるからだ。

話しが逸れたが、今回の写真は、テールガットの下に挟んで、既存のサドルの上に載せ、サドル高を上げるための、一時的なハイサドルである。単に挟むだけで、サドル以外の部分には当らないようにしてある。テールガットさえ長いものと交換すれば、他には変更を加える事無く、ハイサドルの効果をテストできると言う訳である。先のレイズドテールピースと同じか、それ以上に簡単である。

このサドルが一時的な理由は、テールガットを介して、エンドピンのシャンク(ソケット?)を引きぬこうとする力が働くことにある。エンドピンのシャンクがしかるべくフィットされていれば、一時的な使用には問題が無いが、時間が経つと抜けてくる可能性が大きい。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

直接の話題ではないですが,Vektorの
エクステンションの弦の最後の処理は
どうやっているんでしょうか.単に
巻き付けているだけとも思えないし.

それよりも面白いアイデアだと思いました.
楽器はあまり美しくないイタリアンだと
思いましたが.

Vektorのご主人とは楽器の件で相談した
ことがあり懐かしかったです.確かワイン
にも精通していたのでは?

yamaguchi さんのコメント...

教授さんコメントありがとうございます。
webの方のリンクの話題ですね。見ていただいてありがとうございます。Vectorの方とお知りあいとはさすがです。私の方はたまたま写真を見つけただけですので、ワインの趣味の方までは・・・。

エクステンション弦の最後の処理は、写真を見た限りでは、リールのようなものを新たに製作して取り付けているように見えます。チューニングマシンが、木製のピンを用いたタイプですので、長めのピンを新たに製作してリールを仕込む事は、それほど難しくないのではないでしょうか。

少し気になるのは、最終的にテンションを受ける最後の部分が、楽器の中心から離れる事ですが、影響がどの程度あるのかは、分かりません。ちなみに、弦に被せてあるチューブは、スクロールを保護するためのものではないかと思います。

スクロールに穴を開けたくなかったり、スクロールが細かったり小さかったりすると、外側を通さざるを得ない場合があるようです。この楽器も、スクロール周りの寸法の関係ではないかと思います。