
チューニングマシンは、使いやすく手入れされているのが一番で、見た目は二番かもしれない。
オーナーの方の希望にもよるが、古いチューニングマシンなら、なるべく時代を残しつつ綺麗にする。古くて良く手入れされた機械は良いものだ。新品のチューニングマシンも嬉しいものだが、もともとの作りが良かったり、特色のあるマシンなら、手入れして長く使いたい。
たいていの場合、古いチューニングマシンのギアの歯の間には、油とほこりが固く固まったものが詰まっている。もし、全体をピカピカに磨いてしまうなら、有る程度強硬な手段もとれるが、一つ一つ取り除く事もある。世の中を変えるとも思えない地味な作業である。真鍮製のパーツであれば、緑青の部分は取り除きたいけれども、表面の味は残したい。スチールのパーツであれば、汚くなったさび部分は取り除きたいが、全部をピカピカに磨いてしまうと時代が無くなってしまう。メッキパーツや、普段からよく磨かれていて光っている部分は、基本的には綺麗にしてしまう方向で、錆や酸化した表面のテクスチャは生かしながら、見た目が良くなるよう努力する。
写真の奥側が作業前で、緑青で少し緑がかっている。緑っぽいのが取れるだけでも、良い感じになると思う。家人の反応は薄かった。一見すればあまり変化は無いが、各部分の汚れやゴミが取り除かれ、動作は快調になった。
もともと、チューニングマシンの手入れを行ったのは、外観のためではなく、動作の問題だったので、快調になったのが一番だ。反応が薄くても良いのである。チューニングマシンが固い理由はさまざまで、今回は、対向するチューニングマシンの軸が長く、写真のようにプレートと軸が干渉

していたのも一因であった。スクロールチークは、軸方向が板目面だから、年を経るにつれてスクロールチークが収縮して、幅が狭くなったのかもしれない。作られた当初は干渉していなかった可能性もある。
チューニングマシンの各部は、使えば減ってくるから、ギアのかみ合わせ部分の当たり方も変化してくる。この楽器では、ウォームギアの飾り部分との干渉も発生していた。なるべく違和感のないように干渉部分を落として、ようやく使いやすい感じになった。